末期ガンであった母を在宅で介護しましたが、何よりも大変であったことは自分の仕事と介護をどう折り合いをつけるかということでした。
末期ガンであるため、まともに食事を取ることができなくなり、日に日に体調が弱まっていきます。
その結果日常の行動全てが遅くなっていき、例えばトイレをするのにも普通では考えられないくらいの時間がかかるようになり、見守る人間もそれにつき合わなくてはなりません。
通常であれば気にならないのですが、出勤前の時間など、予定がタイトに詰まっている場合にはどうにもならないイライラを感じたり、実際に仕事に遅刻してしまうこともありました。
介護と仕事をうまくやりくりするのは精神的にも肉体的にもほぼ無理だということを気づかされました。
同居している家族だけではどうにもならないことをイヤでも自覚させられたので、まずは訪問介護を検討しました。
しかし他人に身の回りの世話をされることを母が頑なに拒否するため、こちらは頼みたくても頼めない状況になってしまいました。
そこで近所に住む親戚にSOSを出したところ、何とか時間のやりくりをして手伝いに来てくれることになりました。
親戚自身も仕事をしている人だったので、かなり気が引けましたが、我が家の人間が誰も対応できない時に手伝いをお願いしました。
自分に関して言えば、相変わらず仕事に遅刻せざるを得ない日はありましたが、絶対に遅刻できない時に遅刻をすることがなくなり、とても有り難かったです。
高齢者にも言えることだと思いますが、体が弱くなると時間の流れが変わります。
そうした人達を相手にする場合には、どうしても自分の予定が狂うことになり、そのことに対して感じてはいけないと思いつつも相当なイライラやストレスが溜まります。
そんな時は一歩引いたゆったりした気持ちで時間の流れをゆっくりしたものに切り替えることが大切なのだと思います。